OUR ACTIVITIESオオムラサキの棲む里山づくり

里山とは…

林や田んぼ、小川やため池などがある農村の環境が里山です。多くの日本人に共通のふるさとの景色です。人が使うことで様々な環境ができ、そこに適応する様々な生きものがすみつき、豊かな自然が長い年月をかけて育まれました。その中でも、雑木林は美しい四季の景観をつくり、多くの生きものたちにすみかを提供してきました。

人がつくった美しく豊かな自然

かつての里山では、雑木林は、定期的に木を切って薪や炭に使ったり、落ち葉を堆肥にしたりするために人による手入れが継続されてきました。手入れされると植物の種類が増え、四季折々に野草の花が咲く美しい森になります。そこでは、多くの生きものたちも活動し、自然が豊かになっていきました。しかし、化石燃料や化学肥料の普及で使われなくなって、今ではササが茂り動植物の種類も数も減っています。

オオムラサキは日本の里山を代表する蝶で、昭和32年に国蝶に定められました。かつては日本中の里山にいたオオムラサキですが、今では生息環境の悪化とともにその数を急激に減らしています。つくば市でも、つくばエクスプレスや圏央道などの開発にともなって、多くの里山が失われ、また、残った里山も手入れ不足で荒廃しています。私たちがオオムラサキを目にすることは、ほとんどなくなってしまいました。

つくば環境フォーラムの取り組み

つくば環境フォーラムでは、平成15年12月より地主さんの了解を得て、つくば市下平塚の保健保安林に指定された雑木林にて森づくりボランティア活動を行っています。つくばエクスプレス「研究学園駅」のすぐ近く、つくば市の中心部にあって、緑が残されている貴重な場所です。当時は自動車研究所を核としてまとまった林が残されており、その外縁部の雑木林で国蝶オオムラサキを広く確認することが出来ましたが、研究学園地区の開発に伴い、多くの雑木林が消失することが分かったため、保健保安林にてオオムラサキが棲める里山の環境づくりに取り組み始めました。松枯れ後の林にドングリから苗をつくったコナラ、クヌギを植え、林縁にはオオムラサキの幼虫の植樹であるエノキを植えました。森づくりボランティアで下草刈りを行って、今では雑木林が再生しています。森づくりと並行して、周辺の開発予定地にいたオオムラサキをレスキューしての保護飼育及び手入れしている雑木林に放す活動を、地域の小学校の協力を取り付けて10年実施しました。うれしいことにこの森では、毎年、オオムラサキを夏に観察及び、越冬する幼虫の確認ができています。(※現在は保護飼育やレスキューの活動は行っていません。)

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